SRIインターナショナル ニュース・ダイジェスト 日本語版(創刊号) 2004年冬
今回のダイジェストでは、独立研究機関SRIインターナショナルが開発に参画したある物(それはあなたが一日に幾度となく使うとても大切な物です、ちなみにコンピューター・マウスではありません、とは言ってもこれもSRIの発明ですが)が記念日を迎えたこと、また世界の重要な問題やロボット学、教育などに取り組むSRIの最新情報をお届けします。
目次
ダウンロードチケットを偽造から守るために
紙幣をはじめとする金券類には偽造防止の安全対策がとられているが、音楽会や映画のチケットといった一般的な「ダウンロードチケット」は、今なお偽造の危険にさらされている。SRIの新機軸「ナンス・スタンプ(一度限りのスタンプ)」技術は、チケット類が本物であることを証明し、偽物の使用作成防止を可能にした。当社の情報技術にもとづく証印技術は先ごろ、合衆国原理特許として登録された。
米国内サイバー設備安全確保のため提携関係を構築
2004年、国土安全保障省(DHS)科学技術理事会は、サイバー・セキュリティー研究開発センターの管理をSRIに一任するという内容の契約を締結した。同センターはDHSがサイバー・セキュリティー研究開発活動を調整し、実行するためのアンブレラ組織である。ベンチャーキャピタルと研究者、そして民間企業が、政府と革新的なパートナー関係を構築し、エネルギーや金融界、緊急時対応機関など米国内における枢要なサイバー設備の安全を強化するため、サイバー・セキュリティー研究開発センターは技術開発面での触媒の役割を担っている。
シェーキー、ロボットの殿堂へ
自分の行動に動機付けができる初めての移動形ロボット、シェーキーが、他の本物のロボットおよびアニメや映画の主人公たちとともにカーネギー・メロン大学でロボットの殿堂入りをした。記念式典ではSRI人工知能(AI)センターディレクターのレイ・ペローが「SRIにおけるAIの始まりであり、今日も生き続ける技術遺産」とシェーキーを語り、ロボット界の未来についてスピーチをした。
SRI人工知能センターは他にも「センティボット」を開発している。「センティボット」は同じロボット同士でチームを組み、互いに連絡を取り合いながら、知らない建造物の内部を自発的に探索し、図面化し、調査することが出来る。
歴史的なARPANET(高等研究計画局ネットワーク)通信から35周年
世界初の切換型コンピューターネットワーク、ARPANETで、最初の伝送実験が行われてから35年が経った。インターネット時代への幕が開けた瞬間だ。実験はカリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)からメンロ・パークのSRIへ送られたものだった。
SRIとUCLAは四つあるオリジナルのネットワーク・ノードのうち、二つのホスト機だった。残り二つのホスト機はカリフォルニア大学サンタバーバラ校と、ユタ大学にある。以来二十年間、SRIが運営するネットワーク・インフォメーション・センター(NIC)は、ARPANETに接続する全てのコンピューター・ホストに対する登録認証、支援センターとしての役割を果たしてきた。そしてこれが今日のインターネットへと発展した。
アルツハイマー治療薬候補の臨床試験に向けて
国立老化研究所(NIA)は、アルツハイマーなど加齢による疾患に対する有望な治療法の、安全性確認と薬理学の前臨床試験機関として、SRIを選定した。NIAはSRIの前臨床試験結果を、食品医薬品局(FDA)の研究新薬(IND)申請に使用する予定だ。IND申請に通った後は、臨床試験が開始される。
教師も学生もより効果的な学習を
SRI政策研究部門の研究者たちは教師と学生の学習環境を改善するため、たゆまぬ努力を続けている。ここに我々の最新の構想を、要約してご紹介する。
ナノ感覚: サンフランシスコ湾岸地区の高校教師たちは、ナノ・スケールにおける粒子の物理的、化学的そして生物学的な振るまいといった、ナノ科学の原理を学生に視覚化して見せるため、SRIの研究者と協力している。全国への普及に先駆けて、この取り組みは五つの高校で実施される予定だ。
KIPP評定: ヒューレット財団は、「知識は力なり」で知られるKIPP (Knowledge Is Power Program)アカデミーの効果の評価役にSRIを選定した。KIPPとは従来進学は不可能とされていた学生向けに全国で展開される、模範的ともいわれる大学入学準備プログラムだ。プロジェクトの行われる三年内でSRIの研究者たちは、サンフランシスコの湾岸地区にある五つのKIPPアカデミーの実力を証明するだろう。
国立研修センター: SRIは国立科学財団(NSF)の資金を受け、スタンフォード大学及びワシントン大学と共同研究を進めている。このセンターでは潜在学習と脳、形にとらわれない科学・技術・工学・数学の学習法、そして幼稚園から大学卒業まで(訳注K-16: K=kindergarten, 16=16th grade)の良質な学習環境のグランドデザイン、などといった方面の研究に焦点が当てられている。
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