
ポセイドン(POSEIDON)プログラムは、がんを早期に発見して数百万人の命を救うことを目指す
SRIは、研究パートナーであるFoothold LabsとTriple Ring Technologies、ならびに商業化パートナーであるBeacon Dx Healthと共に、「POSEIDON(Platform Optimizing SynBio for Early Intervention and Detection in Oncology、意訳:腫瘍領域における早期介入・検出のための合成生物学最適化プラットフォーム)」プログラムのメンバーとして行う技術開発の資金として、ARPA-H(米国医療高等研究計画局)から最大3400万ドルの助成金を獲得しました。この先進的なプログラムは、早期段階で30種類超のがんを在宅で検出できるスクリーニング検査の開発を目的としています。
SRIのCEOであるDavid Parekhは次のように述べています。「手頃な価格かつアクセスしやすく、早期の段階でがんを検出できる検査は数百万人の命を救う可能性を秘めていることから、ARPA-Hおよびパートナー企業と連携してこの革新的な技術を一般家庭に届けられるようにしたいと思っています。このPOSEIDONプログラムは、がんをはじめとする疾患の診断法や治療法の開発に数十年をかけて取り組んできたSRIの長年の積み重ねを継承しており、世界に良い影響をもたらすというSRIの使命を表す新たなマイルストーンなのです」
SRIの研究者たちは専門家のチームと連携してこの技術の開発と商業化を進めています。Foothold Labsは同社の診断検査プラットフォームをこのプログラムに対応できるように進めており、Triple Ring Technologiesは開発を加速させるべく、バイオエンジニアリング分野のベストプラクティスを適用しています。また、SRIのスピンアウト企業であるBeacon DX Healthは、プログラム開始時点から、商用利用の可能性を追求しています。この協力的なアプローチは、SRIが長年、ディープテクノロジーの開発と、人々の生活に影響を与えられるようなソリューションの提供に取り組んできた歴史の上に成り立っています。
POSEIDONプログラムでSRIが提供するのは、がん組織が広範に増殖・転移する前にその代謝産物(metabolic products)を検出できる、手頃で使いやすい在宅検査法です。そして、これは全く新しい科学的アプローチを実現するということを意味します。
「ARPA-Hと連携して何百万人もの人々に手頃かつ信頼性の高い早期がん検診を提供することは、がん対策に、そして科学に対する私たちの熱い想いの証です」―Kathlynn Brown
SRIがPOSEIDONプログラムで果たす役割は、FOX Threeプラットフォームが中心となっています。このプラットフォームでは、特定種のがん細胞に結合する分子誘導細胞標的化システム(Molecular Guidance Systems: MGS)を見つけ出します。MGSは細胞内に生物学的ペイロードを送り込み、がんが存在する場合には特定の分子の分泌を誘発します。このような分子が尿中に存在するかどうかを、手頃な価格で使いやすいセンサーを用いたデバイスで検出できるようにします。
SRIが主導するチームの一員として、Foothold LabsはバイオセンサーやAI、そして機械学習を用いて、同社の迅速診断検査プラットフォームを尿中に存在する分子の検出用に適応させます。具体的には、同社のNanoRev™デバイスについて、薄膜の電気化学的センサーを改良して小型のカートリッジ形式に収めて、「在宅がん検査キット」として必要な解析機能を提供できるようにします。Foothold LabsのCEOで米海軍特殊部隊(Navy SEALs)の元隊員であるSean McIntoshは次のように述べています。「ARPA-HのPOSEIDONプログラムは、最も必要とされる場面、つまりがんバイオマーカーの検出において、研究室で行うのと同等のレベルで検査できるようにするというFootholdの使命にとても合致しています」
「がん細胞を標的としつつ、健康な細胞を損傷から守るという能力こそが、このプログラムの中核です。がんに特異的なペプチドの開発におけるSRIの専門知識は20年にわたって幅広い治療薬や画像診断用の薬剤、そして診断薬に焦点を当ててきました。ARPA-Hと連携して何百万人もの人々に手頃かつ信頼性の高い早期がん検診を提供することは、がん対策に、そして科学に対する私たちの熱い想いの証です」とSRIのバイオサイエンス部門プレジデントであるKathlynn Brownは述べています。
SRIのFOX Threeプラットフォームは、健康な組織は回避しつつ標的とする細胞にペイロードを送り込めることから、診断や治療に活用することができます。MGSは結合した標的細胞に迅速に取り込まれることにより、ペイロードを運搬します。ペイロードのカーゴ(積み荷)としては、タンパク質毒素や抗体、核酸(DNA/RNA)、リポソーム、ナノ粒子など多様な物質が送達可能です。FOX Threeの応用はこれまで、RNAがん治療などの治療薬開発に重点が置かれてきましたが、診断の分野でも役割を果たしています。SRIの研究者たちは異なる20種類の細胞を標的とする50種超のMGSを開発しています。


