長い休みの間に子どもは長時間YouTubeを見るため、視聴コンテンツ管理が必要


保護者が子どものスクリーンタイム等を管理する方法を、幼児向けメディアの専門家が説明


幼児向けメディアの専門家でありSRIのSenior Education ResearcherのClaire Christensenは、多忙なシングルマザーに、子どもたちの「電子機器の画面を見る習慣」についてインタビューをしていました。リモート環境でインタビューを実施していたのですが、この母親はインタビューで話している間もノートパソコンを持って別の部屋に移動し、赤ちゃんを起こしながら保育園児と幼稚園児に靴を履かせ、全員を車に乗せて食料品の買い物に出かけたのです。このシングルマザーはインタビューの最後を、まるで諦めたような表情で締めくくりました。この母親は、他の何百万人もの母親と同じように、電子機器のスクリーンに子守りをしてもらっている状況に頼っているのです。

よくある話ですが、簡単であり無料でもある電子機器のスクリーンが最高のベビーシッターになってしまうことが多く見られます。もちろん、この母親は自身の子どもに子ども向けのアプリを見せるようにしており、自分の目の届くところにいるよう最善を尽くしているのですが、子どもが実際に何を見ているのかは謎に近い状態です。現代の子育ては、このようにスクリーンなどに依存しつつも、子どもを教育して守ろうと必死になっており、子どもが実際に何を見ているのかは謎であるという恐怖に怯えるような状況になっています。

この見解はデータにも裏付けられています。驚くほど多くの幼児が、驚くほど多くの時間をオンライン動画の視聴に費やしています。ある調査によれば、8歳未満の子どもたちは、電子機器を使う中でオンライン動画を見る時間が一番長く、1日平均39分もオンライン動画を視聴しているとのことです。また別の調査では、子どもがYouTubeを見るかどうかを11歳以下の子どもがいる親に尋ねたところ、80%が「はい」と答えており、子どもがYouTubeを見ているうちの53%が毎日見ていると回答しています。

冒頭で紹介したような、多忙な母親とのインタビューだけでなく、全国的な調査でもほとんどの親が自分たちの子どもはYouTubeで学習していると思い込んでいる、あるいはそうであってほしいと思うと回答しています。しかし残念なことに、親が思うほど、あるいは希望するほど、幼い子どもは学習になるような素材に触れていないだろうという研究結果も出ています。この調査によれば、子どもがオンライン上で見る動画のうち、教育的価値が「高い」ものは20本に1本しかないことが判明しました。子どもたちがオンライン上で見ているものの多くは、何かを売りつけようとするエンターテインメントにベースを置いたコンテンツなのです。

この解決策は、保護者と子どもの関わりを増やすことでもなければ、これまで以上に心配することでもありません。

保護者はすでに最善を尽くしているのであり、できる限りの心配りはしています。

制作スタジオから発信されているのではなく、個人のクリエイターが投稿した膨大な数のユーザー生成コンテンツから動画をモニタリングし、その中から選択することはまさに不可能と言えます。YouTubeには1分間に500時間分もこのような動画がアップロードされています。そのすべてをスクリーニングやモニタリングすることは、多忙な保護者はおろか、どんな人間であっても不可能です。

私が考える解決策は、簡単ないくつかのガイドラインと、より良いツールを保護者に提供すること、そしてストリーミング動画のプロバイダーに変化を促していくことです。これに関して、私はいくつか提案をしています。

  • つながる:子どもが見ているものとつながりましょう。どのような体験でも保護者とのちょっとした会話がより学びを深いものにします。一緒に見る必要はありません。事前に説明を読んでおき、動画を見ている間は耳をすませて聞いておきます。視聴前や視聴後に子どもにオープン形式の質問をするようにしましょう。
  • 尊重する:子どもの興味を尊重しましょう。子どもが自主学習に取り組めるように、ある程度の自主性を認めましょう(もちろん、一定の範囲内で)。お子さんには、何か好きなキャラクターがありますか?それなら、ぜひあなたもそのキャラクターを好きになってください。複数の研究によると、子どもが最もよく学ぶの親しんでいるキャラクターからであるということが示されています。
  • 選択する:ご自身が「良い」と思うチャンネルを選びましょう。動画を一つ一つ選ぶより、チャンネルを選ぶ方が楽です。「教えること」に特化したチャンネルに絞るようにしましょう。AlphablocksやJack Hartmannなど、質の高い学習コンテンツを含むチャンネルがおすすめです。この分野には、新しいチャンネルが参入する大きなチャンスがあります。
  • テクノロジー:テクノロジーもまた一助となります。選択肢としては、YouTube Kidsアプリ管理されたYouTubeアカウント、また、PBS KIDSの動画アプリSensicalのようなYouTube以外のキュレーションアプリもあります。

このような方法があったとしても、発達段階に適した教育コンテンツを判別するツールや、好ましくないコンテンツを選別するツール、あるいは視聴時間でビデオをフィルタリングするツールなど、保護者や子どもがテクノロジーの提供側に求めるものはまだまだたくさんあります。このような課題に対応できるイノベーションが急務です。

このような課題に対応できる、SRIから生まれたイノベーションの1つがAPPROVEです。APPROVEは、オンラインの動画に含まれる読み書きや算数のコンテンツを学年に応じて自動的に識別する新しい機械学習ツールです。このツールが目指すのは、保護者がオンラインの動画を学年や学習トピック別にフィルタリングをサポートすることであり、子どもにとってはブラウジングをより教育的に、かつ保護者にとってはよりストレスを少なくしてくれます。

結局のところ、動画は悪者ではないのです。素晴らしいコンテンツはたくさんありますし、子どもたちは質の高い教育動画から学ぶことができ、実際に勉強になっています。研究やテクノロジー、そして保護者を対象としたガイダンスがアメリカの子どもたちのメディア活用に追いつけば、早期学習をサポートするオンライン動画を子どもと一緒に目いっぱい活用できる優良なツールが保護者にも手に入るようになるでしょう。


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