
3名の専門家が、ソーシャルメディアと睡眠、そして子どもたちが新しい日常に慣れるための準備について、実用的な戦略を提案
新年度や新学期は、子どもたちや家族にとっても難しい時期です。SRIの研究者たちは、この変化を伴う時期につまずくことがないように、役立つ知見を提供しています。
ソーシャルメディアの使用を管理する
SRIのシニアエデュケーションリサーチャーであるDan Cohenは、ソーシャルメディアの頻繁かつ長期間の使用は、うつや不安症状の増加と関連しているということがいくつかの研究で明らかになっていると述べています。しかし、両親や学校、そして教育に関わる人たちが、今や若者の生活の一部となっているソーシャルメディアを管理する際に支援できるようなアプローチがいくつか存在しています。
まずCohenが訴えるのは、親は子どもが小さいときからソーシャルメディアに制限をかけて、その健全な利用方法と害のある利用ならびに健康に及ぼす潜在的な影響について説明することから始めます。子どもが成長するにともない、ソーシャルメディアへのアクセスをコントロールするのが難しくなることから、親が健全な利用方法の手本となり、子どもがよく考えて決断を下せるよう、理解を深めるべく支援することが重要です。
また、学校は、ソーシャルメディアの健全な使用に関する社会的規範を促すことで、潜在的な問題を減らすことができるかもしれない、ともCohenは述べています。このようなメッセージの発信は、同じような状況の仲間内で推進されると最も効果的ですが、健康に関する教育プログラムも有益で、メンタルヘルスや自殺に関する誤った情報などの潜在的な危険因子について話し合ったり、エビデンスに基づいた問題対応の方法を提供したりすることができます。
Cohenはまた、ソーシャルメディアの利用と、これに関連したメンタルヘルスの転帰に関するさまざまなアプローチの効果を評価するには、まだ厳密な研究が必要であると指摘しています。
睡眠の重要性
SRIのスリープリサーチサイエンティストであるOrsolya Kissは、睡眠は不可欠なものであり、親は厳格なルールを子どもに押し付けるのではなく、睡眠の習慣について話し合いを重ねたうえで、家族全員が睡眠を優先させるべきだと述べています。
Kissは、睡眠や日々のルーティーン、習慣、そして目が覚めたときの気持ちなどについて、親が子どもに聞いてみたり話しあ合ったりすることを勧めており、睡眠についての会話から始めれば、家族がお互いの計画のために協力しやすいと述べています。そして、この計画の過程で、子どもに決断する力を与えることができます。
電子機器の多用は睡眠に非常に大きな影響を与える可能性があるため、電子機器を使わない場所や時間帯、あるいは電子機器を使うタイミング、例えば宿題の後や夕食の前などと決めることも計画に入れるよう、Kissは提案しています。
就学準備における電子機器の使用時間
就学準備について、親は「学力」という観点から考えることが多いです。この子は字をよめるかどうか、数を数えられるかどうか、などです。ですが、シニアエデュケーションリサーチャーのClaire Christensenは、就学準備には「学力」よりもはるかに幅広い内容が含まれていると述べています。「学校に行く」ということは、変化に適応することでもあり、幼児にとっては、好きなメディアのキャラクターがこれに対する準備を手助けしてくれます。
スクールバスに乗るのも、リュックを背負うのも、包んであるお弁当を食べるのも初めてであろう子どもたちは、これから起こることについて遊んだり話しをしたりすることで安心感を得ることができますし、メディアがこれを補助してくれます。テレビやYouTubeには、このような新しいことを体験するキャラクターや番組がたくさんあります。スクールバスに乗るブリッピやミス・レイチェルがお友だちを作る様子、そしてダニエル・タイガーの番組では、おうちの人は必ず家に戻ってきてくれるということを教えてくれるのです。
学校が始まったときに子どもたちが心地よく、さらに戸惑わないような遊びやお話のきっかけに、このような動画が使えます。
Christensenによると、このような親しみやすいメディアのキャラクターは、幼児が学校生活に慣れるため、そして学校生活が上手くいくための準備に役立つということです。
SRIの睡眠に関する研究の詳細については、SRIのヒューマンスリーププログラムのページをご覧ください。SRIの教育関連部門についての詳細は、SRIのエデュケーションのページをご覧ください。