
ARPANETから州兵の訓練、さらにはデジタル低照度イメージングに至るまで、SRIは国防に大きく貢献してきました
SRIは防衛分野の技術革新に深く関わってきました。
創立初年度に、SRIは国防に関わる最初のプロジェクトに参画しました。そのプロジェクトでは、有事の際に国内での航空機製造を拡大できる可能性に関する経済性評価を、空軍の依頼で行いました。そして、SRIはその後まもなく、冷戦下において米国が技術的優位性を維持する一助となる研究の拠点となりました。
現在、光集積回路、ハイパースペクトルイメージング、協調型センシング、さらにはスタートアップ企業の育成といった分野におけるSRIの取り組みは、米国とその同盟国を防衛するための新たな能力を継続的に提供しています。
設立80周年を迎えるにあたり、ここで少し立ち止まり、防衛分野における重要な貢献のいくつかを振り返りたいと思います。
ARPANET:インターネットの礎となった軍事ネットワーク
SRIとカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の間で最初に確立されたARPANET接続は、今日のインターネットへと至る道のりにおいて極めて重要な一歩でした。しかし、ARPANETプロジェクトに関する米国防高等研究計画局(DARPA: Defense Advanced Research Projects Agency)自身による説明からも明らかなように、国防総省の関係者たちはこの技術の防衛分野にもたらす影響に強い関心を寄せており、より安全な通信経路の構築や、大規模な指揮統制にコンピュータを活用する可能性を模索していました。
そして、1980年代になると、国防総省はARPANETの技術を基盤として、後にインターネットへと発展するネットワークからは分離された安全なネットワークである「国防データネットワーク(DDN: Defense Data Network)」を設計・構築しました。国防総省が電子メールのような当時としては新しい機能を導入する中で、DDNは米軍の通信インフラの基幹の一つになりました。SRIは「ネットワークインフォメーションセンター(NIC: Network Information Center)」を通じてこの取り組みを支援し、国防関係者がこの画期的で新しい情報環境を円滑に活用できるよう、ユーザーガイドを作成しました。
今日、グローバルなインターネットが恩恵とリスクの両方をもたらす中で、SRIはサイバーセキュリティやフォーマルシステム(形式体系)といった分野において、米国および世界中の同盟国にとってインターネットをより安全なものとすべく、引き続き尽力しています。
パイロットおよび地上部隊の訓練
1970年代初め、SRIは実環境下での飛行や模擬交戦を取り入れた、パイロット向けの初の計装化訓練システムを設計・導入配備するチームに参画しました。このシステムにより、パイロットは実際の兵器を使用することなく現実的な空対空戦闘の訓練を行い、飛行後に結果を極めて詳細に検証できるようになりました。SRIはその後30年間にわたり、このシステムの拡張を支援しました。
また、2005年にはXCTCとして知られる陸軍州兵向けの移動展開型戦闘訓練能力(eXportable Combat Training Capability)プログラムの支援を開始しました。陸軍州兵は、常に特有の課題を抱えていました。それは、兵士たちが平時は民間人としての生活を送りながら、パートタイムで訓練を受け、数十の州に分散して配置されているにもかかわらず、即座に展開することが求められたことです。
XCTCプログラムは、主要な訓練センターへの移動に伴う多大な費用や業務への支障を発生させることなく、戦闘旅団や機能別旅団を各駐屯地にて展開可能なレベルの即応態勢へと引き上げる訓練を行うために設計されました。SRIは主契約者として、自らが開発した多任務対応計測システムである「FlexTrain」を活用し、演習の設計、計画、管理の全行程を担当しました。その後、SRIは最先端の訓練および計装サービスをRavenswood Solutionsとして独立させ、現在も軍の即応態勢と訓練の未来を拓き続けています。
Centibots:未知の環境に対応する自律型ロボット
2000年代初め、SRIは「Centibots」として知られるプロジェクトで、未知の環境を自律的にマッピングできる多数のロボットをネットワークで連携し、世界に先駆けて実地運用しました。DARPA(米国防高等研究計画局)の資金提供を受けたこの研究では、100台のロボットからなるチームが人間の介入なしに協調し、兵士がまだ立ち入っていない空間を探索・地図化・監視できることが実証されました。この能力は市街地戦、トンネル内の障害物除去、施設偵察といった分野への応用が明白なものでした。そしてCentibotsは、その後数十年にわたり防衛分野の研究者たちが改良を重ね、複数のロボットを自律制御する基盤的なアーキテクチャの確立に貢献しました。
紛争地域における音声処理
紛争時には、明確なコミュニケーションが不可欠です。この現実を踏まえて、SRIの音声技術・研究ラボ(Speech Technology and Research Lab)の専門家たちは米軍部隊の安全確保に貢献する技術を開発しました。このラボが開発した「DynaSpeak」エンジンは、音声翻訳システム「IraqComm」に採用され、イラク派遣の米軍に配備されて、英語とイラク方言のアラビア語間で、双方向の音声対音声(speech-to-speech)の機械翻訳を実現しました。これは、自然言語処理におけるSRIの数十年にわたる研究成果を単なる研究室レベルの成果に留めず、成果を現場の部隊が利用できるように実用化したものでした。
現在も、SRIの音声処理技術は依然としてその限界を押し広げています。例えば、SRIの「OLIVE」プラットフォームは、著しい音声劣化が生じる環境下で取得された音声信号などに対しても、処理や理解を必要とする防衛分野や民間分野の顧客に数多くの最先端機能を提供しています。
軍の即応性を高めるAI
チャットボットやバーチャルアシスタントが一般的になるずっと以前から、SRIはDARPA(米国防高等研究計画局)の「PAL(Personalized Assistant that Learns)」プログラムに取り組み、AIを人間のコミュニケーションにどう活用できるかという点について、国防総省の認識を大きく変える一助となりました。
PALプログラムは、軍の作戦計画立案の支援を目的とした音声による対話機能を実現しました。このプログラムを通じて、SRIの人工知能センターは、2000年代初頭における最も重要な人工知能プロジェクトの一つである「CALO(Cognitive Assistant that Learns and Organizes: 学習・整理する認知アシスタント)」において主導的な役割を果たしました。5年間で1億5000万ドルの予算が投じられたこのプロジェクトには、新世代の認知アシスタントを開発するために、22の主要な研究機関から300名以上の研究者が集まりました。
SRIにとっては、この技術の応用は軍事分野で終わるものではありませんでした。PALプログラムを通じて開発された技術は、SRIからスピンアウトしたSiriを生み出し、後にAppleにライセンス供与され、商用音声アシスタント革命の幕開けとなりました。
デジタル暗視技術の夜明け
現在、SRIが開発した「DomiNite」カメラは、SRIが特許を有するNV-CMOS Quad Pixelセンサー技術を基盤としており、防衛分野において極めて重要な意義を持つ低照度イメージング技術の新たな時代を切り拓こうとしています。
これまで、夜間における米軍の優位性は、長らくアナログ式の画像増強管(analog image intensifier tubes)に支えられてきました。これは1940年代後半に発明された真空管を用いた技術で、周囲の光を増幅させることで兵士に夜間でも作戦行動を可能にするものでした。この技術は絶えず改良が重ねられてきましたが、本質的な限界も抱えています。それは、アナログ式の画像増強管は壊れやすく高価だということです。さらに、AIを活用したオブジェクト認識システムに簡単に組み込むことができません。
米国防総省との10年以上に及ぶ共同研究を通じて開発された軽量かつ極めて好感度の「DomiNite」カメラは、デジタル暗視技術の真価をあますところなく発揮しています。SRIの研究者は現在、スタートアップ企業のDeepnight社と協力し、デジタル低照度イメージング技術と機械学習の相乗効果によって、夜間における防衛上の優位性を高める新たな時代をいかに築けるか、その可能性を模索しています。
防衛技術の最先端を歩み続ける
防衛技術のイノベーションにおけるSRIの貢献は、米国と世界の安全向上につながっています。
SRIのこれまでの歩みを振り返ると同時に、未来を見据えることがかつてないほど重要になっています。つまり、安全な宇宙通信、高精度の量子センサー、信頼性の高い自律航法など、さまざまな技術の実現に注力をすることです。SRIは連邦政府機関や同じ志を持つパートナーと協力し、技術的優位性を維持するために不可欠な、高度かつ困難な技術的課題の解決に全力を注いでいます。
SRIのセキュリティおよび防衛技術での取り組みについては、こちらから詳細をご覧ください。


